くりの庭園


Scene1



























  わたしはおんもには出ないのだが、友達はおります。え?いるわけねーだろ!って?失礼ですね、あなた。まあ、いいでしょう。わたしは無駄な争いは好みませんので。いいたいやつにはいわせておきます。わたしは根に持つタイプではありませんからね。
 さて、土曜日、日曜日、年末年始や国民の祝日といえば、「とらじ」君と「きんたろう」君が朝からやってきます。訳はまったくわかりましぇん。彼らには正当な理由があるのでしょうが、わたしには全くもって?でや。思い当たることといえばなきにしも非ずですが。
 「とらじ」君はトラ白でしっぽが長い。わたしのしっぽは中くらいの長さです。真ん中あたりで少し曲がっています。「とらじ」君はほぼまっすぐで、“ほぼ”といったのはよく見ればしっぽの先が少し曲がって小さなお団子になっておりますから。「とらじ」君は色白です。分け目が整っていてトラ色がきれいな左右対称になっておりますね。わたしはといえば「ベレー帽かぶっているみたい」といわれております。わたしは実に美しい「ぶちねこ」ですので。おっと、余計なことをしゃべってしまいましたね。わたしの話は後にして、「とらじ」君、年はわたしよりかなり上でしょうね。わたしは「とらじ」君を「とらじぃ」と親しみを込めて呼んでいるだでや。最初に姿を見たのはここ1年くらいがや?
 うちの人間さんが内ドアを閉め忘れ、かつ玄関ドアを開けっぱなしにしていたところを、わたしが見逃すわけがなく、堂々と玄関から外へ出かけたあの日、わたしは「ぴー太郎」君のところでとらじぃと出くわしたでや。
 不思議なこともあるだがや。わたしはその日に何があったのか憶えていない。全くもって記憶がない。気付いた時にはいつもの寝床のこたつの中にいただがや。やたらと空腹だったでや。わたしは人間語を理解するが、人間の話によれば、わたしは出奔し、3日も家に戻らなかったという。わたしがいつ戻ってもいいようにと小窓だけは開けてあったそうだがや。わたしはこの家にそんな小窓の出入り口があることなぞ知らない話だがや。わたしは小窓から家に戻り、用意してあったカリカリを平らげ、こたつの中ですやすや眠っていたんだと。
 人間の酔っ払いも記憶がなくなるというが、とらじぃと出会ったあの日、何故か酔っ払ったんだと思うがや。絶対に取っ組み合いのけんかになったショックで記憶喪失になったわけではありましぇんから。けんかに負けたわけでは絶対にあ・り・ま・せ・んから。え?左後ろ足の爪?はがれていますよ。それがなにか
 わたしが記憶を失った日からとらじぃは、人間界の“休日”にはわたしの家にやって来ては勝手口から部屋の中を覗いていくだでや。どういう意味かしら。
 そうこうしているうちにこの1か月余り、勝手口から中を覗くやつが、増えた。「きんたろう」君は灰色白のバイカラーで、たぶんとらじぃの身内だと思う。毛色は違うが左右対称の生え際と、目鼻立ちがそっくりだ。わたしは「きんたろう」君と1度戦って勝っている。嘘じゃない。本当のことだがや。
 嫌だな。その疑り深い目。そりゃ、多少毛が舞いましたよ。え?失礼じゃないですか。全部白い毛だったって。やられたのはわたし?わたしは確かに白い毛が多いです。「きんたろう」君だって、おなかの方は白い毛が多いんですよ。わたしがやられたって証拠にはならんがや。皆しゃん状況証拠だけで判断してはだめだでや。  おわり 

Scene2(シュッ!)

Scene3

Scene4

Scene5

ハム一・モンぢローの「写真をぶった切る!」
















「ハムー先生」こちらの写真ですか。あなたずいぶん欲張りですね。
「むらさきぶちちゃん」はい!長崎に行った時に駅前の様子をスマホで撮りました。
「モンぢロー君」ふむふむ。むらさきぶちちゃん、新幹線がメインですよね。わたしがかっこいい作品に変身させますよお。
「むらさきぶちちゃん」はい。それからえっと・・・?!

はい できあがり
















一発で完了だがや。むらさきぶちはなんでんかんでん欲しがるだで、モンぢロー君、言う通りにしていたら日が暮れるでや。ハム一



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